古い文書です。この文書を参照しないでください。特に、ニコ生ゲームでは、ストレージ関連機能は利用できません。
ストレージの仕様とゲームコンテンツからストレージを操作するストレージインターフェースの利用方法をまとめます。
対象バージョンは akashic-engine@1.0.0
以降ですが、サンプルコードでは 2.0.0 以降特有のメソッドなどを利用している箇所があります。
NOTE: この項目はストレージの仕様が現時点で未確定な部分があるため、仕様の概要のみを説明しています。
ストレージ は、ゲームコンテンツから利用できる、永続的なデータを保存するための機能です。
ストレージを操作するには ストレージキー が必要です。
ストレージ内の値は、ストレージキーにより一意に決定する出来ます。
ストレージキーは リージョン, リージョンキー, ユーザ ID, ゲーム ID の組み合わせで構成されます。
以下、それぞれについて説明します。
ストレージには書き込む値の種類に応じて領域が用意されています。
この領域を リージョンと呼称します。
リージョンは Values、Counts、Scores の 3 種類となっており、それぞれ
を保存することを想定しています。
リージョンキーは、リージョン内の値を決定するために用いられる文字列です。
レイヤーキーのフォーマットは [a-z][a-z0-9]{0, 31}
となります。
例: a001
また、リージョンキーは .
を区切り文字とした階層構造で表記することができ、最大階層は 4 階層となります。
例: a001.b001.c001.d001
ゲーム ID は数値となっており、Akashic のゲームコンテンツを識別する ID を指定することになります。
この値は未指定とすることが可能ですが、その場合、後述のユーザ ID の指定が必須となります。
ユーザ ID は数値となっており、Akashic の g.Player#id
を指定することになります。
この値は未指定とすることが可能ですが、その場合、ゲーム ID の指定が必須となります。
ゲーム ID とユーザ ID はそれぞれ指定・未指定が可能であり、ゲームコンテンツは値の用途に応じて適切な組み合わせを指定する必要があります。
ゲームID | ユーザID | 用途 |
---|---|---|
指定 | 未指定 | ゲームコンテンツに紐づくデータ(ゲームの総プレイ回数等)を保存 |
未指定 | 指定 | 他のゲームコンテンツと共有可能な、プレイヤーに紐づくデータ(複数ゲーム間で共有されるアイテムの情報等)を保存 |
指定 | 指定 | ゲームコンテンツをプレイしたプレイヤーに紐づくデータ(ゲームのハイスコア等)を保存 |
ゲームコンテンツは、ストレージインターフェースを通してストレージを操作することができます。
ストレージインターフェースは g.Storage*
に当てはまるインターフェース、クラス、列挙型を指します。
ここからは、コード例を示しながらストレージインターフェースの利用方法を説明します。
ストレージインターフェースの詳細な仕様は API リファレンスを参照してください。
値の書き込みは g.Storage#write()
を利用します。ゲームに紐づく g.Storage
のインスタンスは g.Game#storage
となります。
例えば、Values リージョンに値を書き込むには以下のような記述を行います。
// g.StorageKeyを作成
var key = {
region: g.StorageRegion.Values,
regionKey: "fruit.like",
userId: player.id,
gameId: "$gameId"
};
// g.StorageValueを作成
var value = {
data: "apple",
tag: "foo"
};
// 書き込みを行う
game.storage.write(key, value);
この例において、player
はゲームに参加しているプレイヤーを指す g.Player
のインスタンスとなります。
値の書き込みにはストレージキーを表す g.StorageKey
と値を表す g.StorageValue
が必要です。
この例では、 key
が g.StorageKey
、 value
が g.StorageValue
となります。
key.gameId
に指定している "$gameId"
はゲーム ID を示す予約語を表しています。この予約語が g.StorageKey#gameId
に指定されたとき、Akashic は自動的にゲーム ID の解決を行います。
書き込む値は g.StorageValue#data
に指定します。この例では、"apple"
を指定しています。
g.StorageValue#tag
は値の付加情報となっており、値の検証を行う場合等に利用することが可能です。
game.storage.write(key, value)
で実際に書き込みが行われます。
ここで、ゲームコンテンツは書き込みの成功・失敗を検知することが出来ないことに注意して下さい。
次に、Scores リージョンに値を書き込む例を示します。
var clickCounts = {};
scene.pointDownCapture.add(function(o) {
if (!o.player.id) {
return;
}
var clickCount = clickCounts[o.player.id] ? clickCounts[o.player.id] : 1;
var key = {
region: g.StorageRegion.Scores,
regionKey: "click",
userId: o.player.id,
gameId: "$gameId"
};
var value = {
data: clickCount
};
// 書き込みオプションを指定
var option = {
condition: g.StorageCondition.LessThan,
comparisonValue: clickCount
};
game.storage.write(key, value, option);
clickCounts[o.player.id] = clickCount;
});
この例では、シーンのクリック数をゲームのスコアとしてストレージに保存しています。
o.player
により、クリックしたプレイヤーを取得しています。
値を書き込む場合、同じゲームが同時に実行されているケースを想定する必要があります。
例えば、ゲームが A, B の 2 つの実行単位で実行されており、A, B に同じユーザが参加しているケースを考えます。
A でクリック数 20 をスコアとして書き込んだ後に、B でクリック数 10 を書き込むと最終的なスコアは 10 となってしまいます。
最新のクリック数をスコアとするゲームであれば問題ありませんが、多くの場合は最大クリック数をスコアとすることになると思います。
このようなケースでは、g.StorageWriteOption
で書き込み実行条件を指定することになります。
上記の例では、option
が g.StorageWriteOption
となっており、「現在の値が clickCount
未満の場合に clickCount
を値として書き込む」という条件指定が行われています。
次に、Counts リージョンに値を書き込む例を示します。
Counts リージョンでは、これまで Values リージョンや Scores リージョンの説明で行ったような値を指定した書き込みに加え、値のインクリメント、デクリメント処理を行うことが出来ます。
以下の例では、ゲームのプレイ回数をインクリメントして保存しています。
scene.loaded.add(function() {
var key = {
region: g.StorageRegion.Counts,
regionKey: "play",
userId: player.id,
gameId: "$gameId"
};
var value = { data: undefined };
var option = {
operation: g.StorageCountsOperation.Incr
};
game.storage.write(key, value, option);
});
value.data
に数値を指定すると、指定した数値を現在の値に加算する処理となります。
// 現在の値に10加算する
game.storage.write(key, { data: 10 }, option);
値の読み込みはシーンの開始時に行われ、シーン開始後に読み込みを行うことはできません。
以下のように読み込み行うストレージキーを g.StorageReadKey
として生成し、その一覧を g.Scene
のコンストラクタに指定します。
// ストレージから読み込むキーのリスト
var keys = [
{region: g.StorageRegion.Values, regionKey: "fruit.like", userId: game.vars.player.id, gameId: "$gameId"},
{region: g.StorageRegion.Counts, regionKey: "play", userId: game.vars.player.id, gameId: "$gameId"},
{region: g.StorageRegion.Scores, regionKey: "click", userId: game.vars.player.id, gameId: "$gameId"}
];
var scene = new g.Scene({game: game, storageKeys: keys});
scene.loaded.add(function() {
...
});
この例では、シーン開始前に、g.Game#join
を通して参加者を表す g.Player
が game.vars.player
にセットされていることを想定しています。
読み込んだ値は、シーン開始後に利用することができます。
例えば、 keys[0]
に対応する値を取得するには scene.loaded.add
に登録したハンドラ内で
scene.storageValues.getOne(keys[0]);
とします。
値の一括取得を行う際は、 g.StorageReadKey#regionKey
にアスタリスク *
を含んだ文字列を指定します。
例えば、 a001.b00*
を指定すると a001.b001
、a001.b002
のリージョンキーにマッチする値を取得できます。
また、g.StorageReadKey#userId
を アスタリスク *
とすることができ、これは全ユーザにマッチすることになります。
var keys = [
{
region: g.StorageRegion.Counts,
regionKey: "play",
userId: "*",
gameId: "$gameId"
}
];
var scene = new g.Scene({ game: game, storageKeys: keys });
scene.loaded.add(function() {
// 一括取得の結果(g.StorageValueの配列)を取得
var result = scene.storageValues.get(keys[0]);
// => [{data: 2, storageKey: {region: g.StorageRegion.Counts, regionKey: "play", userId: "user1", gameId: "2"}},
// {data: 5, storageKey: {region: g.StorageRegion.Counts, regionKey: "play", userId: "user1", gameId: "2"}},
// {data: 8, storageKey: {region: g.StorageRegion.Counts, regionKey: "play", userId: "user1", gameId: "2"}}]
});
リージョンキーとユーザ ID の一括取得を同時に指定することは出来ないので注意が必要です。
取得した値を表す g.StorageValue
のメンバである storageKey
は値に対応するストレージキーを表します。
一括取得した値に対応するストレージキーを知りたい場合は、このメンバを利用します。